1. 国家的施策
2. 地方自治体
3. PEFCの開発
4. PEFCの実証運転
5. AFCの開発
6. FCV実証運転
7. 燃料改質技術
8. FC用燃料の開発と実証試験
2.地方自治体(1)資源エネルギー庁
資源エネルギー庁は、ジメチルエーテル(DME)の利用拡大策を探るため、"DME研究会"(委員長藤本東大教授)を設置することになり、2000年3月24日に初会合が開かれた。デイーゼル自動車と家庭用FC等への需要開拓や、DMEの効率的な製造方法、供給体制の整備、電力分野での利用に関する技術的課題などを検討し、7月には報告書を作成する。なお、同庁では94年度から炭鉱メタンガスを原料に、DMEを高効率かつ安価に製造する技術開発プロジェクトを進めており、99年11月には合成試験に成功している。(日本経済新聞00年3月25日、電気新聞同年3月27日、化学工業日報同年3月29日、日刊工業新聞同3月30日) 資源エネルギー庁の"環境変化に対応した石油産業の発展の方向性に関する検討会"は、2000年3月29日「軽油など低硫黄化に対しての設備投資に当たっては、規制措置の前倒しや一層の規制強化の可能性を視野に入れて進めるべきだ」とする内容を盛り込んだ報告書を纏めた。その中でFC用燃料の選択については「技術開発、経済性、環境負荷、エネルギー効率面から幅広く検討するべきで現時点では結論を出せない。石油系燃料は改質面で課題があるが、スタンドなどインフラ活用を考慮すると有望な選択肢の1つである」と述べている。
(化学工業日報00年3月31日)
(2)工業技術院
工技院は2000年度から5年計画で、更にMCFC発電技術の研究開発を進めることになり、高性能・高圧スタックと基本モジュールの開発を通して実用化への見通しを立てると同時に、そのための課題を抽出する。研究課題としては、スタックと改質装置を同一容器に入れたモジュールの開発以外に、実用化システムの経済性評価、リサイクル化技術開発、内部改質型の研究、石炭ガス化ガス利用技術開発が挙げられている。
(化学工業日報00年3月30日)
3.PEFCの開発川崎商工会議所は、JR川崎駅周辺の交通渋滞解消と回遊性を高めるため、地下鉄や高架式交通システムに比べて投資額が低く、かつ交通弱者が利用し易い低床型路面電車の導入を提案した報告書を提出した。この路面電車はFC駆動とすることによって「電線が不要となり、又景観にも配慮できる」と述べている。
(日経流通新聞00年4月6日、日刊工業新聞00年4月12日))
4.PEFCの実証運転(1)ジャパンゴアテックス
ジャパンゴアテックスはアメリカW.L.ゴア&アソシエーツと共同で、PEFC用多孔質構造のフッ素イオン交換膜"ゴアテックス"の量産ラインを整えたと発表した。この膜は膜厚が20μmと薄いのが特徴で、10μmまで製造できると伝えられている。膜それ自身とMEA(商品名はプライメアで厚さ40−50μm)の両方を、世界におけるPEFCのデベロッパーに販売する。ゴアグループはジャパンゴアテックスが保有する岡山の研究開発センターとW.L.ゴアの研究拠点があるアメリカの2拠点で開発を展開、同時に製造も2拠点でハンドメードであったのを量産ラインへ格上げして生産体制を強化してきている。従来フッ素系イオン交換膜は10万円/sq.mと高価であったが、これを1桁程度下げるのを命題としている。
(日刊工業新聞00年4月12日)
(2)東芝
東芝はIFCと共同で、ガソリン改質による住宅用定置型PEFCの分野へ本格的に乗り出すことになった。IFCの技術とドッキングすることにより、世界市場をターゲットに開発を加速させる。又NEDOが今年度からスタートさせるFC普及整備基盤事業(ミレニアムプロジェクト)にも応募する。東芝が12%弱、アメリカUT社が88%強出資して設立したIFCは、PEFCの開発で2000年に出力50kWのガソリン改質型シリーズ2000を完成したが、更に2001年には重量を大幅に下げ、且つ容積を1/2にしたシリーズ300を、出力75kW規模で製作することになっている。他方東芝はNEDOプロジェクトにより、2000年度は出力30kWのPEFCコジェネ機を完成させるべく作業を進めている。IFCは今まで自動車への応用を志向してガソリン改質技術を進めてきたが、住宅の方が自動車よりも普及が早くなるとの判断から、住宅用PEFCの開発に乗り込むことにした模様である。
(日刊工業新聞00年4月14日)
(3)IFCとGM
GMとIFCの両社は、高性能なPEFCスタックの開発に成功したと発表した。IFCによると、新スタックの出力密度は1.5kW/lit.で、この成果は2000年3月初めにデトロイトで開かれたSociety of Automotive Engineersの会合で発表された。同社のWilliam T. Miller社長は「これはほぼ常圧で動作するので、現在広く開発が進められている加圧型に比べて構造は簡単、静かであり、効率も高い」と語っている。又IFCのDan Kellyは「2000年の末までには、出力75kWの新"Series300"スタックの出荷を始めることになろう」と述べている。
他方GMは2000年2月のGeneva Auto Showで、1.46kW/lit.の出力密度を持つスタックを開発しており、同社の子会社であるEuropean Opelが製作したミニバン"Zafira"にこれを搭載した。GMのG. Richard Wagoner社長によれば、氷結温度でも動作は完璧であり、−20℃の低温でも定格出力までの起動時間は30秒と発表されている。設計出力86kWのスタックの体積は59litで.、最大129kWの出力が可能である。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, April 2000, Vol.XV/No.4, p3)
5.AFCの開発(1)東京ガス
東京ガスはアメリカのダイス・アナリテイック社から天然ガス燃料の出力3kWPEFCを導入し、2000年5月から家庭用コジェネレーションを目的とする実証運転を開始する。2004年の商品化を目指している。
(日本経済新聞00年3月25日)
(2)西部ガス
西部ガスは、家庭用PEFCの開発で先行する東京、大阪、東邦ガスの大手3社を追う形で、同コジェネレーションシステムの本格的な研究開発に着手することになり、2000年4月1日付けで日本ガス協会に社員を派遣することを決めた。同協会が目指す2005年中の販売開始に合わせる。
(西日本新聞00年3月29)
(3)中部電力
中部電力は2000年度に出力1kW2台、0.25kW2台のPEFCを購入、電力技術研究所で性能および寿命の評価試験を開始する。
(日刊工業新聞00年4月13日)
(4)広島ガス
広島ガスは2000年4月17日、家庭用FC等小型分散型電源の普及に本格的に取り組むため、海田工場内に2001年度に実証試験を実施する技術研究所(仮称)を建設する構想を明らかにした。本構想によると大手電気メーカが開発した1kW級FC、および70ないし30kWのコジェネシステムを導入、燃料はいずれも天然ガスを考えている。建設費は約5億円の予定。
(中国新聞00年4月18日)
AFCシステムの開発で知られるZeTek Powerは、Cologne-Bonn空港に隣接して位置するGerman aerospace agency DCR(German Center for Air and Space Transportation)およびEuropean Space Agencyの合同キャンパスに、AFCの生産設備を建設中である。「計画されている5MW生産ライン4基の内、1番最初のラインは2000年7月にも生産を開始できる」と同社のNicholas Abson社長は語っている。同社長は去る3月に開催されたHanover Industrial Fairにおいて「これは世界初の完全に自動化された生産プラントになろう」と述べた。各生産ラインに100人が配備され、2年後には現在の2倍、すなわちライン当たり10MW規模にまで拡大される模様である。Zetekはアメリカのニューヨーク(Bronxになると思われる)にもプラントを建設する予定で、当局と交渉中であると伝えられている。Abson社長が表明している他のプロジェクトの1つは、フランスGrenobleの北Chambergにおける研究センターの設立であり、更にFCコンポーネントを生産・供給するためのセンターを、オランダEindhovenの北西Tilburgにおいて建設中で、これは数ヶ月以内に操業が始められることになろう。同社は他の会社と共同開発を進めるためにZASIと称するプロジェクトを提案しており、これには今までにイギリス、イタリア、ニュージーランド、日本、ドイツの5社が参加を表明している。6.FCV実証運転
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, April 2000, Vol.XV/No.4, p1,p9)
Ballard Power Systems, Xcellsis Fuel Cell EnginesおよびChicago Transit Authority(CTA)は、2年間に亘る世界で初めてのFCバス営業実証運転を完了したと発表した。Ballard製FCによって駆動されたバスは、5000時間の営業運転期間に、3万マイル走行し、10万人の乗客を輸送した。CTAのFrank Kruesi長官は「水素FCエンジンは良好に動作し、極暑の夏季や極寒の冬期のいずれの時期にも全く問題は発生しなかった」と語っている。運転者や乗客の評判も良かったようである。バンクーバーで運行中の第2の実証運転も今年中には完了することになる。7.燃料改質技術
シカゴで得られた経験は、今後のFCエンジンの設計や製作に反映されることになろう。「次世代FCエンジンはより簡単な設計で、保守は容易であり、エンジンの重量はシカゴバスのそれに比べて半分になる」とXcellsisのDr. Ferdinand Panik社長は述べている。この新しい準商用FCエンジンを組み込んだバスは、California Fuel Cell Partnershipに参加する第1号車として2000年夏にPalm Springsにおいて営業運転に入る予定である。
バスは大量輸送機関であり、したがって値段についての要求は普通自動車に比べてそれ程厳しくはなく、かつ水素燃料供給インフラの範囲も限られている点において、FC技術の適用に向いた車種であるとBallardは考えている。恐らく最初の商用バスは2002年頃に出現し、価格はUS$34万になるものと期待されている。この価格は電気駆動のトロリーバスと同等である。CTAはBallardが次世代FCバスを製作すれば、再び実証運行に参加したい意向であり、そのためにアメリカ政府からより多額の資金を調達したいと考えている。CTAは実証運転のため既に960万ドルを投資しており、その大部分は連邦政府のClean Air Fundから供給された。
(Fuel Cells Bulletin, May 2000, Number 20, p3, Hydrogen & Fuel Cell Letter, April 2000, Vol. XV/No.4, p2)
大阪ガスは2000年4月11日、都市ガスやLPGに含まれる硫黄成分をppbレベルの濃度にまで除去できる触媒を開発したと発表した。既にこの技術をイギリスICIのグループ会社にライセンス供与しているが、更にFCVの開発を志向する自動車メーカや化学メーカに供与先を広げ、2010年には数十億円のライセンス収入を得ることを目指している。8.FC用燃料の開発と実証試験
(読売、日本経済、日経産業、日刊工業新聞、化学工業日報00年4月12日)
(1)工学院大学
工学院大学を中心とする産学グループは、通産省からの研究助成を獲得し、FCV用を目的とする新しい液体燃料の実用化研究を始めることになった。新燃料はホウ素を主成分とする弱アルカリ性の水溶液に水素を溶かし込んだもので、特殊なイオン交換膜によって水素のみを常温・常圧で取り出すことができる。燃料の保管に特別な装置が不要で、約50kgの燃料によるFCVの走行距離は400kmと予想されので、ガソリン並みの軽さになる。プロジェクトには同大の須田精二郎教授が社長を務める水素エネルギー研究所以外に、大阪府立大学の岩倉教授、積水化学工業、豊田自動織機、東洋紡系のプラントメーカである日平トヤマが参加する。3年後の商品化を目指す。
(日本経済新聞00年3月27日)
(2)日石三菱
日石三菱は2000年4月10日、資源エネルギー庁の支援の基に、ダイムラークライスラーの日本法人であるダイムラークライスラー日本ホールデイングおよびマツダと共同でFCVの実用走行試験を2001年1月から開始すると発表した。走行試験場所はメタノール供給設備が整っている日石三菱精製の横浜精油所で、試験期間は2003年までの予定になっている。日石三菱はメタノール等自動車側が求める燃料を供給する他、独自開発するFCV専用燃料についても実車試験を実施する計画である。同社は既存のインフラ活用を考えれば石油製品がベストと判断しており、軽質ナフサをベースにした専用燃料の開発を急いでいる。
(日本工業、日経産業、産経、日刊工業、朝日、毎日新聞、化学工業日報00年4月11日)